女を幸せにしない「男女共同参画社会」 (新書y)★

 筆者の主張をまとめると、現在行政主導で進められている男女共同参画社会というものは、一億総ハタラキバチ社会で、女性に男性並みの働きをしいるものである。これまで主婦が果たしてきた役割(子育て・介護など)を正当に評価し、それに報いることが可能な社会とすべきである。
 というものなのだが、全体の構成がいまひとつ。
 冬ソナの部分は不要。もし入れるのなら、盗作云々ではなく、冬ソナを見ているのは中年女性だけではなく、エリート女性や若い女性女性にも見られており、それは現代日本では絶滅したロマンチック・ラブを見ることができるからという部分をしっかり書いたほうが、良かったと思う。
 また、天皇制の男系・女系から、雅子妃、紀子妃へと比較する話も、主題とのかかわりがよくわからない。
 むしろ読後感としてまず感じるのは、筆者は、大沢真理上野千鶴子を筆頭とする、シングルで子どものいないエリート女性に対する不信感。これがが強くあらわれすぎていて、読んでいてイヤな気分になる。
 女性が一枚岩ではなく、さまざまな階層に分かれていることを認める著者は、この社会・経済状況下で、主婦がきちんと評価される社会を再び作り出すためにはどうすればよいと考えているのだろうか。エリート女性を恨むのではなく、著者がいうところの「普通の女性」の手による「男女共同参画社会論」を書いてくれればよいのに。と思った。