帝国日本の英文学

 図書館から予約本が届いたとの連絡があったで取りに行った。
 興味を持つきっかけとなった、毎日新聞若島正の書評をもう一度見ても、この本に何故自分が興味を持ったのか、思い出せない。

 「日本で英文学を研究する者が英文学テクストにおける他者表象を批判する資格があるのかどうか」という疑問を持ちはじめる。日本がアジア侵略に乗り出していったとき、西洋植民地主義に対する批判が稼働力として利用されたという事実を知ったからだ。

 あたりかもしれないが。。

 ぼーっとした頭で前書きを読んでいたら、植民地幻想―イギリス文学と非ヨーロッパの名が出てきて、びっくり。この本、確実に読んだことがある。
 確か新聞書評を見て興味を持ったはずで、ビルマの竪琴のなかには食人の記述があるが、本当はそういう風習を持つ人種がその周囲にいたことはいないということからはじまって、台湾の話とか、シェイクスピアテンペストとかが書かれていたなぁと、記憶の底からふーっと湧き上がってきたが、「闇の奥」って何ダッタカシラ?

 よくよく見たら、新聞書評の中にも、

評者にとって最もおもしろく読めたのは、一九四〇年前後、戦争遂行のプロパガンダに取り込まれる形でコンラッドの『闇の奥』が翻訳紹介されたが、中野好夫による翻訳はそうした時局による期待をなし崩しにするような、日本植民地主義への批判として読めるものを微妙に含んでいたと論じる第四章だった。これは、戦後に自己批判した中野好夫の軌跡を考え合わせると、実に興味深い。

と書いているのに。。。

英文学には縁遠いということかしら。