ジハード―イスラム主義の発展と衰退/池内恵

 つい最近まで読売の書評委員を務めていた池内による評。
 評者は、英語圏から次々に邦訳される「イスラム論」の大多数は、不思議なことに実際にイスラム思想やイスラム主義運動を研究したものではなく、これらの書物の関心事は、「どのようにイスラムを論じることが政治的に正しいのか」を説くことであると指摘する。うっすらと感じていることが、明確に文章になっていることが小気味よい。